■これまでの愛聴盤としては、カラヤン&ベルリン・フィル、レヴァイン&ウィーン・フィル、バーンスタイン&バイエルン放送管があります。いずれもモダーン・オーケストラの立派な演奏です。評判のいいガーディナーの盤は、「レクィエム」ともども、私の心には響いてきませんでした。
■今回取り上げたダイクストラ盤は、オケがミュンヘン室内管、合唱はダイクストラの手兵のバイエルン放送合唱団。非常にうまい合唱団です。オケが室内オケということもあり、全体になんとも清々しい演奏です。独唱もこの演奏に沿った歌唱です。ソプラノなんかはもう少し深みがあってもいいかなと思います。でも、そんなに深みを追及する曲でもないと思うので、問題はありません。
■HMVレビューには版について書かれており、この演奏は「完成ヴァージョン」を使用しているとのことです。まあ、私はこの曲に限らず、版については何の頓着もありません。というか、分かりません。ベートーヴェンの「英雄」第1楽章終わりのトランペットが欠落するほどの違和感は、このCDにはありませんでした。「クレド」が幾分賑やかに感じたくらいです。
■この曲のスタンダードとなりえる演奏ではないかと思います。たいへん気に入りました。

ミサ曲ハ短調 ダイクストラ&バイエルン放送合唱団、ミュンヘン室内管弦楽団